山口構成員対伊藤幹部

 今回から一つの見出しにつき一局という形にしてみます。
 マイナビ女子オープンの本戦が開幕。いつのまにかホームページがリニューアルされて爽やかな感じになってますが、このデザインはどうも将棋新世紀末覇者ことponaXを思い起こさせてしょうがないです。しかもページの一番上にはponaXのサポート打ち切りについての告知のページへのリンクがされてるという。ああ黒歴史

山口恵梨子-△伊藤沙恵…△伊藤勝ち

 山口は振り飛車党。よく言えば気合のいい、悪く言えば無茶なところのある攻め棋風、という女流棋士にわりと多いタイプ。伊藤は早見え早指しの力戦派。自分の形をもっており、対振り飛車には相振りを採用。
 ということで、本局は先手山口の三手目▲7五歩に後手伊藤が△5四歩と突いて▲三間vs△向飛車の相振りに。なるかと思ったんですが、山口が素早く銀を繰り出して牽制。伊藤は先手三間に対してはいつもこの形なので、山口も狙い撃ちしてた感あります。伊藤は向飛車を断念して三間に振りましたが、それを見て山口は飛車を振り戻して2筋を逆襲しようという作戦。これは後手の駒組みに隙ありと見ての機敏な動き、と言えなくもないですが、ちょっと肩ぶつかっただけの相手に因縁ふっかけて慰謝料ふんだくろうとするような将棋とも言えます。文明社会ではだいぶ無茶。
 そこからも銀バサミできるもんならしてみろやとメンチ切る▲4五銀(17手目)、兄貴分に道開けるために歩行者に頭突きする▲2三銀不成(39手目)と、威勢のいいチンピラ将棋を展開する山口。一度、喧嘩売ったからにはとことんいかないといけません。しかし対する伊藤はああした輩には関わらないのが一番だと山口のチンピラ手をスルーしつつ、いつのまにか玉の直上のド急所に爆弾をセットして足止めたら人質の命ありませんよ?と逆に脅すインテリヤクザぶりを披露。山口も食い下がったんですが、このトーナメントでは唯一の奨励会組(加藤桃子はタイトルホルダー、西山朋香は予選敗退)として優勝候補の伊藤、さすがに一枚上手でした。
 こういう社会のルールからはみ出すような将棋は見てる方としては面白いので、もっとやれと言いたいです。