1000問パワー

 このところ将棋倶楽部24で気合入れて指す元気がないので、布団に寝っ転がりながら将棋ウォーズをちょこちょこ指しています。この気軽さはしかし人を堕落させます。冬になったらこたつで丸くなりながらの将棋ウォーズ、という堕落コンボにより廃人になる将棋ファンが量産されるんじゃないでしょうか。
 ところで、先日行われた電王戦タッグマッチ。賛否両論あるようですが、否定派の方は将棋ウォーズを将棋連盟が公認した時点でもっと声を上げておくべきだったんじゃないかと思います。棋神なんていう金で買えるチートを公認しちゃいかんだろうと。
 ちなみに私自身は、某プロの呟きよりも超小型ディスプレイ付ヘッドセットなんていうSFチックなワクワクアイテムの方に心を揺さぶられた賛寄りの無党派層です。

▲宮本広志四段-△今泉健司アマ…△今泉勝ち

 ニコニコで電王戦タッグマッチがキャッキャウフフと行われていた裏では、人生を賭けた人対人の勝負、今泉アマのプロ編入試験第1局が行われてました。モバイル中継では無料での中継。
 このプロ編入試験はプロが試験官としてアマの挑戦を受けて立つという構図なわけですが、一方ではまだプロなりたてで大舞台の経験もない若者がいきなり「プロ代表」の看板を背負わされて、一回り以上年上でアマタイトルを何度も獲ってる百戦錬磨、しかも駒音ビシビシ立ててくる迫力あるおっさんを迎え撃たなくてはいけない、という戦いでもあるわけです。過酷。
 以前にも中飛車一本の今泉アマに対して、プロ側はどのような対策をぶつけてくるか注目と書きましたが、プロとしても考え方は色々あろうかと思います。
 自然体で臨んで自分の力を発揮することに集中する。中飛車狙い撃ち、今泉殺しの秘策をぶつける。力戦乱戦にして腕力勝負に持ち込む。
 振り駒で先手引いた宮本は初手▲5六歩。中飛車一本の相手に対し、先に中飛車宣言してしまうという作戦できました。挑発的とも取れなくもないですが、そもそも宮本は振り飛車党なので「自然体」と「狙い撃ち」の中間くらいの手でしょうか。対する今泉アマは三間に振っての相振り志向ですが、それを見て宮本はこれまた今泉アマの得意戦法でプロを破ったこともある中飛車穴熊へ。さすがにここまでやるとだいぶ狙ってた感が出てきます。
 今泉アマも美濃から穴熊に組み替えるあたりは手慣れた指し回し見せましたが、中盤の細かい折衝ではやや宮本リード。そこから終盤は穴熊同士ながら8筋で殴りあう玉頭戦に。8三に桂ぶち込まれて銀のハッチが吹っ飛んだあたりは今泉アマ大ピンチに見えましたが、応急処置にもってきた歩の簡易ハッチがペラペラのようで意外に頑丈で急に今泉玉が見えない形に。
 宮本が攻めあぐねたところで今泉アマに攻めのターンが回ってくると、そこからは駒の割れる勢いで猛ラッシュ。宮本玉も穴から這い出て粘ろうとしましたが、震えを見せずに一気に押し切ってしまいました。今泉アマ大きな1勝。単純な速度計算の勝負になりやすい横からの寄せ合いではなく、ゴリゴリと駒がぶつかる縦の潰し合いになったことで、粘っこい今泉アマの腕力が発揮しやすい土俵でしたか。しかし今泉アマの終盤力、半端ない。
 第2局は10月5日、試験官は星野良生四段。次は今泉アマ先手ということでおそらく初手▲5六歩でしょうが、どういう作戦で来るでしょうか。