KKSまじKKS

森内俊之-△渡辺明…森内勝ち

 1回戦からいきなり竜王vs二冠、両雄の激突。後手番渡辺の作戦が注目でしたが、すっと4手目△4二飛。これは…KKS!前期最終戦佐藤康光戦でも採用していたので「まさかの」とまでは言えませんが、この一戦にぶつけてきますか。佐藤戦は消化試合ゆえのお試しというわけではなかったみたいです(米長哲学に否定的な渡辺はわりとそういうことしそうなタイプ)。
 序盤のポイントとなったのは27手目▲2三歩。解説コメでは伊藤果がその前に▲2四歩△2二歩の交換入れて凹ませる方が先手得と力説してましたが、それを入れずに飛車交換拒否のためだけの、それも何手か先には取られてしまう運命の▲2三歩を打つ選択をした森内。序盤早々での一歩損確定で森下卓大激怒というところですけど。歩を犠牲に後手の金を囲いから遠く離れさせ、その間に手薄になった中央の歩を伸ばしていくという構想にはなるほど納得。後手としては▲5六歩〜5五歩と伸びてきてるのを横目に見ながら、△3二金〜2三金とそっぽの歩を取りに金を出稼ぎさせなきゃいけないのが気持ち悪すぎます。不審者の出没情報があるのに、はじめてのおつかいさせてる場合じゃない。
 そこから迷子の金を引き寄せたり、取れる桂を取らずに我慢したり、逃げられる飛車を逃げなかったりと苦心の手順で粘りにでる渡辺でしたが、許さんと直線的に踏み込む森内。このところ「森内の直線的な踏み込み」は「谷川浩司光速の寄せ」並の株価動向を示していたたので少し不安でしたが、ここは逃さず。ずっと形勢を悲観してたのかW杯で寝不足だったのか、渡辺も23時前にあっさりと投了。森内名人復位に向けて好スタート。渡辺は今後も後手番どうするのか心配になるような内容でした。

▲渡辺愛-△中村真梨花中村勝

 対抗型続きの女流王座二次予選、本局も▲居飛車△四間の対抗型。▲6六歩と角道止めてクマるのかと思いきや、すっと▲6五歩と位取っての左美濃が先手の作戦。真部流とか振飛車側がここの位取る形はちょくちょくありますが、居飛車側が位取るのは少し珍しい。振飛車に屋根の低い銀冠を強いたところは、居飛車作戦勝ちでしょうか。
 ただそこから居飛車が仕掛けにちょっと慎重になって角をちまちま動かしていたところを、振飛車は圧迫されていた屋根を自分からどっせーいと突き破る意表の開戦。そこから行きますか。しかし、これが手になるマリカ攻め。振飛車が玉頭戦を制することに成功し、あとはうっちゃり狙う居飛車の怪しげな勝負手にも落ち着いて対処して寄り切り。なかなか見応えある終盤でした。