種も仕掛けも

 羽生vs森内十三番勝負の第6局。

▲羽生善治-△森内俊之…羽生勝ち

 名人戦では相掛かりで往復ビンタからのバックボーンブリーカーを決めた羽生棋聖でしたが、本局は初手▲7六歩からの相矢倉へ。ただ、早々に定跡型は離れ、先手は6筋、後手は4筋にお互い位を張る力勝負へ。森内が攻めを引っ張りこんで受けに回り、対して羽生が細い攻めを繋げられるか、という2人の勝負ではおなじみの構図。これはさすがに切れ模様だろう、というところから迫ってるんだか迫ってないんだかよくわからない怪しい手を羽生が繰り出し。受け間違えたんだかそもそも最初から攻めが切れてなかったんだかもよくわからないうちに中段玉が捕まえられ森内投了。何が起きたんですかこれ。
 感想戦では、金を見捨てての上部開拓からひたすら入玉目指せば後手良し、という某スイーツ評論家兼入玉専門家の説が有力かのように言われてましたが。うーん。金は入玉阻止するのに最もうってつけの駒。しかもこの局面ではすでに先手の持ち駒に金2枚あるので、3枚目の金を持たれるということになります。両手に金棒もって立ちはだかってる鬼畜な眼鏡男性相手に、もう一本、金棒あげるんでちょっと横通してもらっていいですか、と交渉もちかける度胸あるのかという話です。普通はない。これで名人戦から羽生6連勝。強すぎます。

  • MIM:▲7三歩成(101手目)…それまでずっと盤面右側で細い攻めをなんとか繋げようとガチャガチャやってたところで、急にポンと成り捨て。これを桂で取ると、決め手にと考えていた角のラインを受けられてしまいそう。ということで森内は角で取りましたが、これが羽生の罠だったのかも。▲6四歩(105手目)からこの角を目標にされてしまい、攻めが切れなくなってしまいました。