雁木厨

 子供の頃、はじめてちゃんと覚えた戦法が雁木でした。それ以前は舟囲いオンリー。矢倉のみとか美濃囲いのみという初心者はわりと多いですけど、舟囲いのみというのはわりとレア。居飛車相手にも舟囲いしかしないので、毎度父親相手に棒銀で角頭を破られてました。…今、考えるともうちょっとちゃんと教えてやれよおやじと思わないでもない。

広瀬章人-△森下卓…森下勝ち

 NHK杯をつけたら、森下卓広瀬章人相手に雁木でガンガンやってるところで。雁木かあ、この戦法、終盤の入り口までは調子いいんだけどなにせ玉が薄いからなあ。相手は終盤鬼の広瀬だしどうせ逆転されるんだろなあ、と思いつつ珍しくそのまま見てた(日曜午前に寝ずに将棋を集中して観戦するのはなかなか難しい)ら、そのままガンガン攻め倒しててビックリしました。雁木最強か。
 実際のところ、雁木は薄いです。なにせ玉の周り5マス中2マスしか守り駒がいません。薄いというかもはや囲いになってないレベル。雁木囲いではなく、雁木構えとか雁木住まいとでも言うべき。特に飛車に弱く、王様の脇がスカスカなものだから飛車を渡すと王手○○取りで攻め駒を抜かれてしまいます。なので、雁木では飛車切っての攻めとかもってのほか。なはずなのですが、この対局では森下が飛車切りの攻めを敢行。案の定、王手角取りがかかりましたが、そこでさらに飛車竜両取りを掛け返すというトリプルクロスカウンターを炸裂させてぶっ飛ばしてました。先手は飛車の位置が悪くて流れ弾に当たった格好ですが、「雁木に飛車切りなし」という固定概念にとらわれずに踏み込んだ森下の強さが光りました。