絶対に受けてはいけない竜王戦24時

 藤森、アウトー。

中村太地(4組優勝)-△藤森哲也(6組優勝)…▲中村勝

 月曜に高見泰地を強烈なパンチで殴り倒した藤森哲也が中3日で再び登場。対する中村太地はランキング戦一回戦で藤森の師匠・塚田泰明を倒して残留戦送りにしてるだけに、仇討ちとなりますか。
 戦型は横歩取り。先手・中村が十分な体勢から端攻めに手を付けたところ、後手・藤森は全く受けずに猛然と中央から殺到し、銀捨ての猛攻で5七のど急所に竜作ることに成功。中村としては藤森の攻めを誘った面もあったと思うんですが、思った以上にグイグイ来られて自宅まで入ってこられてしまいました。藤森は二枚目の竜も作って6八&1九のダブルドラゴンで4九の先手玉を挟撃。中村絶体絶命に思えましたが、よく見ると後手の攻め駒は竜×2と持ち駒の香の3枚。「4枚の攻めは切れない」と言われますけど、3枚の攻めだとかなりキワドイ。普通はちょっと足りません。
 キワドイ終盤で勝負を分けるのは攻防手。中村に「これで勝ちでしょう」という攻防の角が出て、ここまでか、と思ったんですが。攻防手が攻めに利いてくる前にこっちから攻めることで受けにしか利いてないことにさせる、という逆転の発想で藤森は応戦。決定打になりそうな中村の攻防手をこの手段で3回くらい凌いで迫りましたが、あと一歩足りず。藤森の攻め200%に冷や汗かいたものの中村勝ち上がり。次戦の相手は深浦康市

  • MIM:△2二歩(54手目)…横歩取りで175手という大熱戦の本局でしたが、この長手数にして藤森はこの△2二歩のただ一手しか「受けの手」と言えるものを指してないです。あとは王手された時に対応してるだけ。…おそろしい棋士もいたもんです。