うめうめたけまつうめ

 ロッベンといいマスチェラーノといい、薄毛の方はスタミナありますね。

羽生善治-△木村一基…△木村勝

 王位戦が開幕。木村のタイトル戦登場は第50期の王位戦以来です。その時は深浦康市王位相手に3連勝からの4連敗で奪取を逃すという陣屋の悲劇、ジンヤッソに見舞われました。
 振り駒で先手羽生となり、ゆったりとしたペースで相矢倉へ。ここらへんは挨拶代わりという感じ。久々のタイトル戦の木村としてはまずは力出せる戦型でという思いあるでしょうし、羽生の方もいきなり相掛かりの往復ビンタで殺しにかかった対森内の時ほど殺気立ってませんので。
 雀刺しに構える羽生に対し、△9五歩と端にちょっかい出して歩を持ち、△4五歩と位も取っていく積極的な木村。ただ、積極的といっても後手ですので、一気に攻めかかろうというよりまずは主張点を作って局面をリードして、相手に攻めてきてもらったところを叩こうという感じの指し回し。なんだか羽生森内戦の続きのようです。
 羽生は封じ手での意表の銀バックから4筋の位に反発していきましたが、木村が飛ばした△5八歩の手裏剣が急所に突き刺さってシビレました。これで羽生はやむをえず馬作って粘りにいきましたが木村も緩まずに寄せ切り先勝。木村の重厚な指し回しが光った一局。豚丼にカツカレーと連日の重厚な昼食の組み立ても光りました。羽生の方はちょっとらしからぬ淡白な印象。やっとこ森内打倒を果たしたと思ったら、また同じような棋風の相手が出てきたもんでちょっとウンザリしてたんでしょうか。せっかくセットしたんだから端突き捨てて嫌味つけてみるなり、ちょっと遅いようでも右桂を活用していくなり、もうちょっと相手にストレス与えていく陰険な指し方してもよさそうなもんですけど。ともかく、シリーズが楽しみになってきました。

  • MIM:△5八歩(74手目)…銀交換してさあ攻め合うかというところで先手の出足を止めた手裏剣の垂れ歩。感想戦では▲同飛と取って割り打ちの銀は打たせるしかないという結論のようですが、まあ取りづらいです。

阿久津主税(0-1)-△森内俊之(1-0)…△森内勝ち

 羽生がウンザリしてる頃、森内はまた蘇ってました。名人戦で3敗とトラウマになっててもおかしくない相掛かりを受けて立ち。相掛かりが苦手なんじゃない、羽生が強いだけなんだ。分かってんのか小僧。と言わんばかりに、A級1年生の阿久津に持ち味の切れ味を全く発揮させることなく、じっくりコトコト料理してペロリ。羽生という鬼のいぬ間に洗濯しようと思ったら、森内というもう一人の鬼がやってきて撲殺されましたの巻。今のところ5年連続同一カードの未来しか見えません。

  • MIM:△8四歩(96手目)…結構煮詰まってきてる局面で、遊び駒を使っていこうという合わせの歩。8五ならともかく8四の地点で合わせってさすがにじっくり過ぎるんではと思いましたが、この歩が40数手後に8七に成り返って先手玉を詰ましてしまうんだから参ります。

鈴木環那-△伊藤沙恵…△伊藤勝ち

 ちょっと取り上げてませんでしたか、女流王座トーナメントも着々と進行中。相居飛車から得意の歩交換許す代わりに銀冠組みにいく作戦の伊藤に対し、許すっていうなら逆に結構ですと飛車先伸ばさない鈴木。伊藤の作戦が受け身なのを見て、咎められないでしょうと早囲いにいくというのはなるほどと思いましたが、伊藤は伊藤でそもそも攻める気ないですしと金銀4枚での築城に専念。二枚銀立ち矢倉という私の考えた最強のお城が出来上がってました。
 こうなるとあとは鈴木の城攻めが通るかどうかの勝負に。城方の手厚い防御に苦しみながらも搦め手への陽動も交えつつ城門突破を果たしましたが、そこでちょっと焦って戦線が伸び過ぎたところを兵站を切られ。あえなく干からびてしまいました。惜しかった。

  • MIM:▲9一角成(59手目)…強烈な角切り。これで攻め繋がったかと思ったんですけどね。