C-2 class : 2nd game (day 1)

 前回の更新は小林健二の格好良さに思わずアツくなりましたが、順位戦の対局はもちろん他にも行われてました。今回は10,11日に行われたC級2組25局全部について見ていってみようという試み。

  • C級2組2回戦

小林健二(0-1)-△田中悠一(1-0)…持将棋
▲田中悠一(1-0)-△小林健二(0-1)…△小林勝ち

 これは前回の更新で書いたとおり。TFMG2連投の酷使で小林勝ち。

▲土佐浩司(1-0)-△桐山直澄(1-0)…△桐山勝ち

 横歩取りの相中住まい。お互い飛車をぶん回す若々しい将棋。先手が2〜4筋に位張ってだいぶ模様良さそうでしたが、そこから角切りの攻めはいまいち成果上がらず。最後は反撃受け始めたとこでずいぶんあっさりと投了。

▲宮本広志(0-1)-△加藤一二三(0-1)…▲宮本勝ち

 先手ノーマル四間、加藤は当然のように棒銀。対して宮本は金を6八→7七と上がって▲8六歩とぶちかまし。捌けるかどうかが勝負の棒銀に目掛けて振飛車側から突進するとか見たことない。ですが、そこから綺麗さっぱり左辺の駒を捌いて宮本完勝。

永瀬拓矢(0-1)-△星野良生(0-1)…▲永瀬勝ち

 ▲居飛車△向飛車。穴熊に組まれる前にと振飛車から動いていきましたが、やや無理気味。この序盤の折衝での貯金をじっくり積み立てていって永瀬完勝。はよ昇級しろ。

千田翔太(1-0)-△遠山雄亮(0-1)…▲千田勝ち

 △四間穴熊に▲居飛車急戦。早々に6筋の位取るのが千田の工夫で四間穴熊の定型である△6三金と上がる手を消してます。遠山はやむなく5三に金上がりましたが、4三の銀と並んだ格好はどうにも味悪い。千田は急戦を見せて振飛車側の駒組みを制限しておいてから金銀4枚をくっつけて自分だけ堅くするという、なんとも老練な指し回し。位取りといい、千田は年齢不詳住所不定の将棋指しますね。フリクラリーチの遠山編集長、2連敗と寒いスタートに。

▲阿部光瑠(0-1)-△石田直裕(1-0)…▲阿部勝ち

 ▲升田流向飛車△居飛車穴熊。後手玉が穴に潜ろうとした瞬間に開戦。金が2枚とも浮いてる状態だったのを突かれて、そのままズルズル押し切られてしまいました。「浮き駒に手あり」の好例。

藤原直哉(0-1)-△横山泰明(1-0)…△横山勝ち

 横歩取りの相中住まい。最近はめっきり中原囲いも減りましたね。藤原が勢いよく攻め込むもちょっと無理気味。横山も落ち着いて見切ってました。

▲田中魁秀(0-1)-△吉田正和(0-1)…△吉田勝ち

 横歩取りの▲青野流。短気なベテランがワーッと攻めこんでいってそれを冷めた若手が処理するという、このクラスでわりと頻繁に見られる将棋。角と桂だけであっさり寄せてしまうあたり、なんとなく「慇懃無礼」という四文字熟語が思い浮かべられます。

▲増田裕司(0-1)-△西川和宏(0-1)…△西川勝ち

 △ゴキゲン中飛車に▲7八金型。歩頭銀の強手から先手が後手の穴熊にガブリと食らいついたかと思ったんですが、どうも甘咬みだった模様。一手の緩みであっさり攻守逆転となってしまうのが玉形差の悲しさ。

佐藤和俊(1-0)-△石川陽生(1-0)…▲佐藤勝ち

 ▲石田流△中飛車穴熊。純粋振飛車党の石川ですが、意表の中飛車穴熊を採用。ホント、流行ってますね。このブログの検索ワードも半分くらいは「中飛車 左穴熊」です(残り半分は「ファン・ペルシー よこよこ」)。最近の左穴熊は金銀4枚を玉側に寄せていく工夫が発達してさらに手強い戦法となってきた感ありますが、本局は左辺への備えに金銀2枚も割かれるという、いかにも五十の手習いといった感じの指し慣れてない駒組み。その金銀を相手にするような振飛車の攻めもやや疑問でしたが、いかんせん二枚穴熊では薄すぎ。

▲牧野光則(0-1)-△藤森哲也(1-0)…▲牧野勝ち

 矢倉△米長流急戦。藤森の米長流というと2年前に順位戦佐々木勇気をふっ飛ばしている得意戦法。玉の薄さが嫌われてマイナー落ちした戦法ですが、攻め200%の藤森にはピッタリです。しかし、本局ではさあ攻めるぞと藤森が鼻息荒くしてるところに、牧野が居玉のままで先に仕掛けるというお株を奪う先攻。どう見ても無理っぽいんですが、藤森に先に攻めさせると鼻息がうるさくてかなわんという判断でしょうか。これがペースを狂わせたか藤森攻めは不発、牧野が攻め倒してました。

▲中田功(0-1)-△森けい二(0-1)…△森勝ち

 ▲中飛車△三間の相振り。中田がB面攻撃を交えながら一方的に調子よく攻めてたんですが、秒読みに追われたかポロッと銀取られて攻め駒が足りなくなり切れてしまいました。

瀬川晶司(0-1)-△三枚堂達也(1-0)…▲瀬川勝ち

 △一手損角換わりに▲早繰り銀。といっても銀が4六に出てきたのが29手目なので早繰りというほどでもない銀。後手は銀矢倉で受け止める形。この戦型のスペシャリストである丸山忠久もよく指してる形ですが、これが後手の最善というなら一手損角換わり指す気になれないんですよね。薄い玉形での殴り合いになりやすいこの戦型にしてはやたらゴチャゴチャした難解な将棋でしたが、△3四竜(120手目)と引いた手が元気なくてそこから先手勝ちになった感じ。

 うん、25局全部というのは無理。一言で終わらそうと思っても、よほどどうでもいいような将棋でなければ一言じゃ止まらない。ということで、10日の対局分だけで勘弁。