香川流△石田流
▲石本さくらアマ-△香川愛生…△香川勝ち
関西勢同士の対戦。戦型は後手の香川が石田流へ。石田流というのはかの鈴木大介が「先手番の最強戦法」とわざわざ言ったように基本的には先手番での戦法。後手番だと普通に組むのは無理としたもので、そこで最近流行りの4→3戦法や立石流など４二で飛車を途中下車してからの組み換え、2手目△３二飛など色々な工夫が考えだされてきたわけですが。本局では▲７六歩△３四歩▲２六歩△３五歩▲２五歩△３二飛というオープニング。なんか、普通に組んでますこの人。
実は昨年の同棋戦▲中井広恵△香川愛生戦でも香川は同じオープニング採用していて、その時は中井が年長者として若者のはねっ返りは更正しておかないといかんと敢然と角交換から▲６五角打ち。ただこれには△３四角の切り返しがあって以下力戦になります。
本局では△３二飛に▲６八玉。△３四角や△５五角の筋を消す玉上がりで、なおも△６二玉などと普通の駒組み続けようものなら今度こそ▲６五角行きまっせということですが、ここで△４二金と立つのが香川の新工夫。▲６五角を受ける一手で、手の意味としては飛車の途中下車と同じ。角交換型の石田流だと金の定位置は３二なので金の動きで一手損することになるし、なんか得あるのかと思って見てたら、香川はここから４二の金を５三に活用。なるほど玉側に金寄せていく狙いか、そういうことなら納得。と思いきや、そこからこの金は４四→３四→４五とあらぬ方向へ。いやいや。なにをふらふらと。脱法ハーブでもやってるのかな。
結果的にこの千鳥足の金が先手の銀と刺し違えたことで抑え込みの網を破り、後手石田流の快勝。香川流△４二金大成功の巻！…と言い切っていいのかどうかは微妙なところ。本局のように放し飼いにするにしても美濃にくっつけるにしても、2,3筋の守りを銀に任せて金を出稼ぎに行かせるというのはあまり健全な姿ではない気がします。△３二金と寄ればよくある形に合流できますし、△４二金という手が無理ということはないでしょうけど。でもそれなら4→3戦法の方が余計な心配しなくていいんでないかなと。先手石田流で4手目△４二玉に角道止めずに▲７八飛と振るタイプの人は試してみてもいいかもしれません。
