C-1 class : 3rd game

 王位戦第5局は角換わりになってますね。これで矢倉3、角換わり2。
 今日もモバイル中継より。

斎藤慎太郎(1-1)-△菅井竜也(2-0)…△菅井勝ち

 関西若手同士の好カード。プロ入りが2期先で棋戦優勝歴もある菅井の方がやや格上なイメージですが、順位戦では2期連続で斎藤勝ち。しかも前期は菅井の開幕からの連勝を止め、結果的に昇級を阻んだことになっただけに菅井としても期するものありそうです。
 ▲7六歩△3四歩▲2六歩△4四歩という、ノーマル振飛車かウソ矢倉かという出だし。ここで▲2五歩突くべきかどうか問題というのはなかなか悩ましいところです。ウソ矢倉を許さんというなら▲2五歩△3三角を決めて飛先交換を権利にして指したいですし、向飛車を警戒するなら▲4八銀などと指すところ。プロなら相手を見て、居飛車党なら▲2五歩、振り飛車党ならその他の手と決めればいいんですが、じゃあ「元はガチガチの振り飛車党だけど最近は居飛車もよく指す」という相手にはどうすべきかという。
 斎藤は▲4八銀と「振り飛車党の菅井」を警戒しましたが、「最近は居飛車もよく指す菅井」はしらっと△4二銀からウソ矢倉に。これは先手としては何となく悔しい。まあ、▲2五歩突いてたら向飛車にされたのかもしれませんけど。どっちにしても相手を序盤早々クサクサさせることができるという、振り飛車党寄りのオールラウンダだからこそのなかなか嫌らしい序盤戦略。
 自分だけ飛先を突いている先手は、普通に駒組み進めてはつまらないと先手番での米長流急戦矢倉へ。これも後手がウソ矢倉にしたからこその選択肢で、悔しいだけでは済まさんという斎藤の意思を感じます。
 中盤以降はあちこちで駒がぶつかる激しい戦いに。終盤、先に追い詰められたのは後手玉だったんですが、ここから先手玉を上部に引っ張り出してお互いの玉同士の接近戦に持ち込むと、詰めろ逃れの詰めろの応酬の末にうっちゃり決めて菅井勝ち。うむ、二人とも強い。

田中寅彦(0-2)-△真田圭一(2-0)…▲田中勝ち

 相矢倉。先手が▲6七金右と上がるのを少し遅らせているのを見て、後手が袖飛車に振る展開。先手が6筋、後手が4筋に位を張って、お互い手厚い陣形を作り合う力将棋に。
 ジリジリとした駒組みから先に動いのは田中でしたが、一番手厚いところをこじ開けようというのはさすがにしんどく、あっさり桂損したわりには戦果が上がらず。攻めが切らされるギリギリのところで何とか手を繋げて踏ん張っていると、今度は真田が得した桂をぶっこむ歩頭桂から猛攻。これは潰れかに見えましたが、▲7九桂打、▲9七桂と受けに最も適さない駒である桂を総動員してのつま先立ちでの凌ぎで何とか踏ん張り、最後はバシッと寄せ切って元祖ファンタジスタらしからぬ終盤での逆転で田中勝ち。攻守両面での田中のしぶとい踏ん張りが光りました。