中飛車<相振り<左穴熊<袖飛車?

 前回、今泉アマに倣って週1000問詰将棋解こうと決意したわけですが、さっそく取り掛かったところ、46問目で寝落ちしました。最近、詰将棋やろうとすると必ず獰猛な睡魔に後頭部をぶん殴られて気絶するんですが、なにかの呪いでしょうか。
 王位戦第5局は「羽生つええ」以外特に言うことないので割愛。棋譜中継に追加された感想戦のコメントもやけにあっさりしてましたが、そこにいたプロもみな「羽生つええ」以外の感想がなかったんだと思います。

久保利明(1-1)-△郷田真隆(1-1)…△郷田勝ち

 初手▲5六歩の中飛車宣言に対し、郷田は△3二飛と飛車を振って対抗。すると久保は▲5五歩〜5六飛と一直線に浮き飛車にする工夫を披露。▲2六飛の飛車回りを見せることで△3三角と受けさせ、飛車を圧迫しにくる後手の左銀の進出ルートを塞いでおいてから玉を左に。今ホットな先手中飛車対策の相振り飛車対策の中飛車穴熊へ。
 当然、予期していたであろう郷田の先手中飛車対策の相振り飛車対策の中飛車穴熊対策は、居玉のまま△7四歩。袖飛車に振り直しての速攻で穴熊に潜る前に潰そうという狙いです。振り飛車から袖飛車への振り直しとか大山康晴かて。
 実際には袖飛車は実現しませんでしたが、牽制としては十分機能して穴熊の阻止に成功。気づいたら後手は四枚美濃に収まってるのに対し、先手はうっすい舟囲い。しかも玉の真上に垂れ歩の爆弾つきで、ほとんどリフォームのしようもないという。中飛車穴熊という新しい安息の地を見つけたと思ったら、早速こんな超地雷物件を押し付けられるとかやってられません。
 袖飛車は玉が薄くて指しこなすのが難しい(だから大山くらいしか指さなかった)ので、中飛車穴熊対策の決定版になるとは考えにくいですから、今後もA級居飛車党による左穴熊対策研究発表会は続いていくんだと思います。

山崎隆之(3-0)-△飯塚祐紀(0-3)…▲山崎勝ち

 相掛かり先手引き飛車棒銀。角の軽やかな転回で山崎が局面リードしたかに見えましたが、飯塚も二枚の銀をグイグイ繰り出す手厚い構えで主導権を奪い返すことに成功。しかし山崎は二段目に金銀角を全て退却させて手足引っ込める亀戦法で我慢。堅いガードに手を焼いた飯塚がより重いパンチを打ち込もうと振りかぶった瞬間、狙い澄ましたカウンタが突き刺さってあっという間に形勢逆転。まっくのうち、まっくのうち。ホント厚みと上ずりは紙一重です。

谷川浩司(0-2)-△佐藤天彦(3-0)…△佐藤勝ち

 横歩取り△8四飛・5二玉型。△7二銀〜2三銀としてから△2四飛と飛車ぶっつけるのがここしばらくの流行ですが、佐藤は更に過激に△2三銀上がらずに飛車ぶつけ。飛車角総交換でいきなり終盤突入の順もありそうでしたが、いかにも研究にハマりそうと見たか谷川は▲2五歩と飛車交換拒否して穏便な順へ。
 自然流を思わせる本筋の手の連発で局面をリードしたのは谷川でしたが、佐藤もしぶとく喰らいついて決め手与えず。それでもあと一押しで谷川押し切れそうというところ、佐藤は成り込みが見込める飛車をあえて端に逃がすという鬼手。これが谷川を惑わせ、いつの間にか逆転して佐藤勝ち。これは谷川がどうこうというより、佐藤が強かった。